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120 第 二 部 韓 国 と 日 本 の 若 手 研 究 者 による 報 告 東 アジアにおける 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 制 定 過 程 香 港 と 韓 国 の 質 的 調 査 より 後 藤 悠 里 ( 日 本 学 術 振 興 会 特 別 研 究 員 PD / 東 京 大 学 大 学 院 人 文 社 会 系 研 究 科 ) 渡 辺 克 典 ( 立 命 館 大 学 衣 笠 総 合 研 究 機 構 生 存 学 研 究 センター PD) 1 はじめに 1990 年 の 1990 年 障 害 をもつアメリカ 人 法 (Americans with Disabilities Act of 1990) を 嚆 矢 として その 後 オーストラリアやイギリスなど 多 くの 国 々 で 包 括 的 な 障 害 者 差 別 禁 止 法 (Degener 2005)が 制 定 されている 日 本 に おいても 千 葉 県 (2006 年 ) 北 海 道 (2009 年 )などで 条 例 が 制 定 され 国 内 法 の 制 定 に 向 けて 障 がい 者 制 度 改 革 推 進 会 議 差 別 禁 止 部 会 での 議 論 がすすん でいる 東 アジアでは 香 港 および 韓 国 が 障 害 者 差 別 禁 止 法 を 制 定 している これら 二 つの 地 域 は 共 通 した 特 徴 を 持 っている 第 1 に 後 発 性 である 香 港 障 害 者 差 別 禁 止 条 例 (Disability Discrimination Ordinance) は 1995 年 韓 国 障 害 者 差 別 および 権 利 救 済 等 に 関 する 法 律 は 2007 年 に 制 定 されており それ 以 前 に 成 立 した 法 律 を 参 照 することが 可 能 であった 第 2 に それぞれの 地 域 ではほかの 属 性 を 対 象 に 含 む 差 別 禁 止 法 ( 香 港 : 平 等 機 会 法 案 韓 国 :( 社 会 的 ) 差 別 禁 止 法 )を 制 定 しようとする 動 きの 中 で 障 害 者 差 別 禁 止 法 が 作 られた 経 緯 がある 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 制 定 過 程 をこうした 二 つの 観 点 から 整 理 すると どのような 差 異 が 見 出 せるだろうか 本 研 究 では この 問 いを 明 らかにするために 質 的 調 査 法 (ドキュメント 分 析 およびインタビュー 調 査 )を 用 いる ドキュメント 分 析 の 対 象 となったのは 00_20 本 文.indd 120 13.3.22 3:23:52 PM

東 アジアにおける 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 制 定 過 程 121 法 律 の 条 文 議 会 の 議 事 録 障 害 者 団 体 が 発 行 するニュースレター 新 聞 記 事 である インタビュー 調 査 は 当 時 の 議 員 官 僚 障 害 者 団 体 の 成 員 などに( 香 港 :2009 年 6 月 2010 年 7 月 ~ 8 月 2012 年 2 月 計 15 名 2010 年 5 月 2010 年 8 月 2012 年 3 月 2012 年 6 月 2012 年 8 月 計 16 名 ) 半 構 造 化 面 接 によってお こなわれた 以 下 法 の 制 定 経 緯 について 言 及 したのち その 相 違 点 について 明 らかにし ていく 2 香 港 の 障 害 者 差 別 禁 止 法 制 定 経 緯 香 港 では 戦 後 間 もなく 社 会 福 祉 事 業 を 担 う 団 体 が 現 れてくる それらの 団 体 は 職 業 訓 練 リハビリテーション 情 報 提 供 居 住 型 施 設 におけるケア ディ サービスなどのサービスを 提 供 する 役 割 を 担 った 一 方 で 1960 年 代 に 入 る と セルフヘルプグループ と 呼 ばれる 障 害 当 事 者 による 団 体 が 生 まれて くる これらの 団 体 の 統 括 組 織 として 1947 年 に 香 港 社 会 服 務 連 会 が 成 立 し た 香 港 社 会 服 務 連 会 は 1973 年 から 政 府 の パートナー として 各 団 体 と 政 府 の 橋 渡 しをするような 役 割 を 果 たしている(Yeung 1990: 3) 障 害 者 差 別 禁 止 法 に 関 する 動 きはこの 段 階 から 水 面 下 で 存 在 した 香 港 失 明 人 協 進 会 会 長 を 務 めた 莊 陳 有 氏 (Chong Chan Yau)によれば 彼 らは 1970 年 代 から 障 害 者 差 別 禁 止 法 制 定 を 目 指 す 活 動 を 行 っていたという( 荘 陳 有 氏 へのインタビュー 2012.02.18) また 香 港 社 会 服 務 連 会 が 発 行 している 雑 誌 ( 社 会 季 刊 ) ニュー スレター(Welfare Digest)には 障 害 をもつアメリカ 人 法 の 紹 介 がされている (HKCSS 1991: 2, 江 紹 康 1992: 28-9) 差 別 禁 止 法 制 定 が 実 現 性 を 帯 びてくる 1993 年 以 前 に 各 団 体 は 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 必 要 性 を 認 め 情 報 の 入 手 に 努 めていた のである しかし 政 府 は 障 害 者 差 別 禁 止 法 制 定 を 拒 否 していた 当 時 の 香 港 では 立 法 評 議 会 の 力 は 弱 く 予 算 を 必 要 とするような 法 案 を 提 出 することはで きなかった したがって この 時 点 では 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 制 定 はほぼ 不 可 能 であった 1990 年 代 初 頭 香 港 では 差 別 事 件 が 立 て 続 けに 起 こった 1992 年 には 九 龍 00_20 本 文.indd 121 13.3.22 3:23:52 PM

122 第 二 部 韓 国 と 日 本 の 若 手 研 究 者 による 報 告 麗 港 城 で 精 神 病 者 のクリニックを 作 る 動 きに 対 して その 後 2 年 間 に 及 ぶ 住 民 反 対 運 動 が 起 きた 1993 年 8 月 14 日 には 九 龍 東 頭 邨 で 公 共 住 宅 の 中 に 重 度 の 知 的 障 害 者 の 居 住 施 設 を 開 設 しようとしたことに 対 する 住 民 たちの 反 対 が 起 きた この 事 件 に 対 して 香 港 社 会 服 務 連 会 や 反 差 別 大 連 盟 といった 団 体 は 素 早 く 対 応 し デモンストレーションや 警 察 署 長 への 嘆 願 などをおこなった 差 別 事 件 の 翌 々 日 衛 生 福 利 局 の 黄 銭 其 濂 (Wong Chien Chi-lien)が 差 別 禁 止 法 を 作 ることを 宣 言 し( 明 報 1993.08.16 A2) 法 案 の 検 討 に 入 った ここから 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 実 現 は 一 気 に 近 づくことになる 法 制 定 の 具 体 的 な 流 れを 作 ったのは 当 時 立 法 評 議 会 議 員 であった 胡 紅 玉 であ り 彼 女 は 平 等 機 会 法 案 Equal Opportunity Bill を 1994 年 に 立 法 評 議 会 に 提 出 した 平 等 機 会 法 案 は 公 的 領 域 のみならず 私 的 領 域 における 障 害 性 人 種 性 的 指 向 宗 教 家 族 の 地 位 一 定 期 間 を 経 た 前 科 に 基 づく 差 別 を 禁 止 するも のであった(Petersen 2005) 平 等 機 会 法 案 は 結 局 廃 案 になる しかし 政 府 はこの 案 の 性 と 障 害 に 基 づく 差 別 を 禁 止 する 条 文 を 利 用 することにし 胡 紅 玉 もこれに 承 諾 したのであった ここでは 第 1の 点 についてとりあげる 香 港 の 立 法 評 議 会 においては 保 健 福 祉 局 長 官 や 議 員 たちによって 代 弁 される 形 で 障 害 団 体 の 要 望 が 出 されてい る 第 1 に disability の 中 国 語 訳 を 弱 能 ではなく 残 疾 とするように 求 めた 障 害 団 体 の 意 見 が 受 け 入 れられている 1) 第 2 に 障 害 者 にとっての 雇 用 の 場 が 少 ないため (1) 中 小 企 業 に 認 められている 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 適 用 除 外 の 猶 予 期 間 をなくすこと (2) 裁 判 所 が 職 場 復 帰 を 含 めた 救 済 措 置 をおこ なえるようにすること という 二 つの 要 望 が (1)5 年 から 3 年 への 短 縮 (2) 地 方 裁 判 所 が 復 帰 を 命 じることができる という 形 で 認 められた 香 港 の 障 害 者 差 別 禁 止 法 はオーストラリア 障 害 者 差 別 禁 止 法 (1992)を 参 照 している 2) 条 文 の 内 容 は 香 港 の 状 況 に 合 わせて 変 えられた 部 分 があるが 障 害 の 定 義 はほぼ 同 じである 障 害 の 定 義 において 香 港 の 人 びとの 理 念 が 垣 間 見 られるのが disability の 中 国 語 訳 についてである 障 害 者 団 体 と 民 主 派 の 議 員 たちは disability の 訳 を 原 案 の 弱 能 から 残 疾 に 変 更 する 要 求 をお こなった この 言 葉 を 選 んだ 香 港 社 会 服 務 連 会 のスタッフは 以 下 のように 述 べ 00_20 本 文.indd 122 13.3.22 3:23:52 PM

東 アジアにおける 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 制 定 過 程 123 ている 私 たちは disability の 訳 語 として 残 疾 という 言 葉 を 選 ぶことにした その 理 由 は 第 1 に 慢 性 疾 患 を 入 れたいと 考 えたからである 第 2 に 傷 残 に は 身 体 障 害 のイメージが 強 かったので 違 う 言 葉 に 変 える 必 要 を 感 じた ( 筆 者 注 : 香 港 ではあまり 使 われていなかった) 残 疾 という 言 葉 を 新 しく 用 いることで 自 分 たちがその 言 葉 を 身 体 障 害 者 知 的 障 害 者 慢 性 疾 患 の 人 を 含 めるように 再 定 義 できるのではないかと 考 えた そこで 上 司 に 残 疾 という 言 葉 を 提 案 し た( 蔡 海 偉 CHUA Hoi Wai 氏 へのインタビュー 2012.02.14) つまり 障 害 者 差 別 禁 止 法 制 定 過 程 の 担 い 手 たちは 残 疾 という 言 葉 を 用 いることで 否 定 的 な 障 害 観 を 取 り 除 くとともに 病 気 をそのなかに 含 めるこ とを 明 確 にしたのであった 立 法 評 議 会 ではこの 主 張 が 認 められ 結 果 として disability の 訳 は 残 疾 となった 香 港 では 総 督 に 権 限 が 集 中 しており 立 法 評 議 会 は 諮 問 機 関 としての 位 置 づ けしかなく 議 員 が 予 算 を 必 要 とする 法 案 を 提 出 することができなかった 初 めて 直 接 選 挙 が 行 われたのは 1991 年 からである( 議 席 は 60 議 席 中 18 席 それ まで 議 会 内 に 勢 力 を 持 つことのできなかった 民 主 派 が 選 挙 を 席 巻 した) こうした ことを 一 因 として 差 別 を 禁 止 する 法 律 がなかなか 生 まれず 1995 年 になっ てはじめて 性 差 別 禁 止 条 例 1995 年 の 障 害 者 差 別 禁 止 条 例 が 同 時 に 制 定 さ れた 3) 3 韓 国 の 障 害 者 差 別 禁 止 法 制 定 経 緯 韓 国 では 2000 年 から 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 制 定 運 動 が 実 質 的 にはじまり 2003 年 結 成 の 障 害 者 差 別 禁 止 法 推 進 連 帯 ( 以 下 障 推 連 )が 法 律 制 定 に 大 きな 役 割 を 果 たした しかし 制 定 までの 過 程 はなだらかなものではなかった その 一 つは( 社 会 的 ) 差 別 禁 止 法 への 対 抗 である 盧 武 鉉 大 統 領 ( 当 時 )は 差 別 禁 止 法 をつ 00_20 本 文.indd 123 13.3.22 3:23:52 PM

124 第 二 部 韓 国 と 日 本 の 若 手 研 究 者 による 報 告 くる 意 向 をもっていた 障 推 連 はこの 方 針 に 激 しく 抵 抗 し 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 制 定 を 要 求 した 60 日 間 にわたる 国 家 人 権 委 員 会 の 会 議 室 を 占 拠 した 座 り 込 みの 結 果 大 統 領 は 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 制 定 の 決 定 を 下 した その 後 も 経 済 界 からの 反 対 や 国 会 内 部 の 問 題 があったが 2007 年 に 無 事 法 律 が 国 会 を 通 過 した 最 後 まで 論 点 として 争 われたのは(1) 差 別 是 正 機 関 を 国 家 人 権 委 員 会 と 独 立 に 置 くか 否 か (2) 是 正 命 令 に 伴 う 罰 金 制 度 を 設 置 するか 否 か (3) 差 別 が 行 われたかどうかを 証 明 する 責 任 を 差 別 者 と 被 差 別 者 の 間 でどのよ うに 配 分 するか である 制 定 された 法 律 においては (1) 障 害 者 差 別 是 正 小 委 員 会 を 国 家 人 権 委 員 会 の 下 に 設 置 すること( 第 40 条 ) (2) 挙 証 責 任 につい ては 差 別 行 為 を 受 けたと 主 張 するものが 差 別 行 為 が 行 われたことを 証 明 し 反 対 にその 相 手 側 が 障 害 に 基 づく 差 別 ではないこと または 正 当 な 根 拠 があ ったことを 証 明 すること( 第 47 条 ) とされ (3) 懲 罰 的 賠 償 制 度 については 悪 質 なものである 場 合 には3 年 以 下 の 懲 役 または 3 千 万 ウォンを 越 えない 罰 金 刑 を 宣 告 することができる( 第 49 条 )とされた 崔 栄 繁 はこの 結 果 を 評 して 障 害 者 差 別 禁 止 委 員 会 の 設 置 を 除 き 障 推 連 が 主 張 した 是 正 命 令 や 立 証 責 任 の 転 換 懲 罰 的 賠 償 制 度 導 入 が それぞれの 趣 旨 に 沿 って ある 程 度 の 導 入 に 成 功 している と 述 べている( 崔 2010: 54) 韓 国 の 後 発 性 は 香 港 の 場 合 と 違 い 新 しいものを 作 り 出 すという 形 でみ られる 障 推 連 の 人 たちはアメリカ イギリス 香 港 といった 他 国 の 法 律 の 検 討 をおこなっている それと 同 時 に 障 推 連 法 制 委 員 会 は 集 会 や 委 員 会 内 の 議 論 で 障 害 者 差 別 についての 意 見 を 収 集 し 法 案 を 作 成 した 障 害 の 定 義 は 法 制 委 員 会 の 人 びとにとって 注 目 されたテーマの 一 つであった 社 会 的 障 壁 が 障 害 を 作 っていることを 明 記 し 障 害 の 範 囲 も 長 期 的 短 期 的 一 時 的 な 障 害 を 含 めようとしていた さらに 開 かれたネットワークの 運 営 委 員 でもあり 2000 年 当 初 から 障 害 者 差 別 禁 止 法 制 定 に 関 わっていたユ ドンチョル 氏 は 定 義 について 以 下 のように 述 べている イギリスとかアメリカやオーストラリアの 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 障 害 の 定 義 には 差 別 についての 観 点 がない だから 私 たちは 新 しい 試 みをしようとした(ユ ド 00_20 本 文.indd 124 13.3.22 3:23:52 PM

東 アジアにおける 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 制 定 過 程 125 ンチョル 氏 へのインタビュー 2012.08.30) ( 韓 国 語 )영미법이나 호주법을 다 봐도, 장애의 개념 안에 우리가 아까 이야 기 했던 차별의 개념을 넣어서 정의하는 예는 없어요. 우리가 이제 사회적 모델에 입각해서 장애의 정의를 새롭게 해보려고 새롭게 시도를 했던 거죠. ほかの 法 律 を 参 照 しながら 新 しいものを 作 るという 形 で 韓 国 の 後 発 性 は 現 れている 韓 国 では 大 統 領 によって 社 会 的 差 別 禁 止 法 の 制 定 が 目 指 されたが 障 推 連 の 反 対 で 独 立 した 障 害 者 差 別 禁 止 法 が 制 定 されることになった 4 おわりに 制 定 過 程 の 比 較 本 報 告 では 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 制 定 過 程 において 前 提 とされながらあま り 注 目 されることはなかった 二 つの 点 ( 後 発 性 とほかの 属 性 を 対 象 とする 法 律 の 制 定 )に 焦 点 を 当 てて 議 論 を 進 めてきた 香 港 では 障 害 の 定 義 の 範 囲 を 広 くとるオーストラリア 型 の 障 害 の 定 義 が 導 入 され disability の 中 国 語 訳 を 決 定 するにあたって 病 気 の 人 を 含 むことが 強 調 された 言 葉 が 選 択 された 韓 国 では 障 推 連 によって 障 害 の 定 義 について 新 しい 試 み がおこなわれようと した 香 港 および 韓 国 におけるインタビューで 興 味 深 かったのは 運 動 の 担 い 手 か らほかの 属 性 を 持 つマイノリティに 関 する 発 言 が 聞 かれたことである 香 港 に おいて 先 に 言 及 した 反 差 別 大 連 盟 は 差 別 というイシューに 特 化 したネットワ ークであり 障 害 者 のみならず 外 国 人 労 働 者 性 的 マイノリティ シングルマ ザーなどをメンバーとして 含 む 団 体 である 中 心 メンバーの 一 人 である 麥 海 華 氏 は 以 下 のように 話 している 私 たちは 特 に 障 害 者 に 対 する 差 別 に 関 心 を 持 っていましたが 同 時 に ジェン ダー ドメスティックワーカー 移 民 性 的 マイノリティ 宗 教 の 問 題 にも 関 心 00_20 本 文.indd 125 13.3.22 3:23:53 PM

126 第 二 部 韓 国 と 日 本 の 若 手 研 究 者 による 報 告 を 持 っていました( 麥 海 華 MAK Hoi Wah 氏 へのインタビュー 2012.02.17) 障 害 者 差 別 禁 止 法 (のみ)に 対 する 運 動 においてこうした 人 びとが 参 加 した かどうかについては 確 認 することができなかったが 障 害 者 差 別 禁 止 法 制 定 1 週 間 前 に 立 法 評 議 会 でおこなわれた 平 等 機 会 を 求 めるデモンストレーショ ン 参 加 を 呼 び 掛 ける 広 告 には Horizon( 性 的 マイノリティ 団 体 )や 関 注 単 親 人 士 会 (シングルマザー 団 体 ) 香 港 職 工 会 連 盟 ( 外 国 人 労 働 者 が 加 盟 している 労 働 組 合 )なども 名 を 連 ねている 韓 国 でも 同 じように ほかのマイノリティの 中 に 障 害 者 を 位 置 づける 語 りが みられた 開 かれたネットワークのピョン ギョンテク 氏 は 同 団 体 を 社 会 的 弱 者 のための 人 権 団 体 として 位 置 づけている その 上 で 彼 は 社 会 的 弱 者 に ついて 以 下 のように 説 明 を 加 えた 移 住 労 働 者 性 的 少 数 者 多 文 化 家 庭 セトミン( 北 朝 鮮 からきた 人 びと) 新 しく 定 着 し 始 めた 人 たち 多 様 な 階 層 がいる ( 開 かれたネットワーク ピョ ン ギョンテク 氏 へのインタビュー 2012.08.30) ( 韓 国 語 )이주노동자, 성적소수자, 다문화 가정, 그리고 또.. 새터민. 다양 한 계층이 많죠. そして こうした 社 会 的 弱 者 の 中 でもっとも 差 別 を 受 けている 人 たちが 重 度 障 害 者 であると 述 べられている 同 様 の 発 言 は 韓 国 DPI のキム デション 氏 の 語 りにもみられる 社 会 的 弱 者 がおこなう 人 権 運 動 の 中 でも その 中 で 一 番 弱 いと 思 われるのが 障 害 者 である 障 害 者 には 子 どもも 老 人 もいる 女 性 も 男 性 もいる 労 働 教 育 環 境 徴 兵 交 通 といったすべての 分 野 に 障 害 者 の 問 題 が 発 生 している こう いう 点 から 見 ると 障 害 者 運 動 が 一 番 大 切 だと 言 える 障 害 者 問 題 が 解 決 できると ほかの 運 動 も 解 決 できる そういう 意 味 で 障 害 者 運 動 は 価 値 のある 運 動 だと 思 う 00_20 本 文.indd 126 13.3.22 3:23:53 PM

東 アジアにおける 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 制 定 過 程 127 (DPI 韓 国 キム デション 氏 へのインタビュー 2012.08.29) ( 韓 国 語 )그래서 이 인권운동은 여러 가지로 생각해볼 수 있는데.. 어쨌든, 사회적 약자가 하는 운동이고, 사회적 연대를 해야지만 가능한 운동이고. 인권 운동이 하는 것은 결국 우리가 이야기하는 사회 이데올로기를 바꾸게 한 운동이 다. 이렇게 보셔야 한다는 거죠. 그 중에서도 가장 약자로 꼽을 수 있는 것이 장 애인 쪽이에요. 자, 장애인의 특성을 보면, 장애인은 굉장히 영구적이라는 게 특성이 하나 있어요. 즉, 전( 全 )생애 영역을 거쳐가고 있다. 한 살부터 노 인까지. 어린이부터 노인까지 문제를 다 갖고 있다. 두 번째, 장애인은 성별 도 다 갖고 있다. 여성도 있고, 남성도 있고, 나이도. 세 번째, 장애 쪽은 모든 분야를, 또 영역을 다 갖고 있다라는 것이에요. 즉, 노동문제도 장애인이 발생 을 하고요. 그 다음에, 교육에서 장애인이 통합교육, 특수교육 이야기 다 되고 요. 그렇죠? 노동, 교육, 사회적인 국방의 의무, 환경, 교통, 장애인이 어디 하나 안 끼는 영역이 없어요. 다 장애인 문제가 발생해요. 그래서 보시면 여러 사 회적 약자 중에 장애인이 가장 정점에 있다는 것을 알 수가 있어요. 결국 장애인 문제가 다 해결되면, 나머지 문제가 다 해결돼요. 그렇기 때문에 장애인 운동은 가치 있는 운동이에요. 障 害 者 の 運 動 を 通 してほかのマイノリティの 人 権 の 保 護 も 目 指 していくこと 障 害 のユニークさを 強 調 するだけではなくほかの 属 性 との 共 通 点 を 探 っていく こと 香 港 や 韓 国 の 障 害 者 差 別 禁 止 法 制 定 経 緯 からはこうした 動 きを 学 ぶこと が 可 能 である なお 質 的 調 査 を 中 心 とした 本 報 告 ではふれなかったが 香 港 韓 国 の 比 較 においては 次 の 2 点 も 重 要 である 第 1 に 当 事 者 性 についてである 香 港 は 非 政 府 組 織 の 意 思 決 定 機 関 ( 残 疾 岐 視 条 委 員 会 )に 障 害 当 事 者 が 議 長 として 参 加 していたが 当 事 者 運 動 というよりもソーシャルワーカー 弁 護 士 大 学 教 員 といったエリートによる 障 害 者 のための 活 動 であった 韓 国 では 障 害 当 事 者 が 意 見 を 出 し 非 当 事 者 がその 実 現 を 手 助 けするという 形 での 役 割 分 担 がおこ なわれていた こうした 香 港 と 韓 国 の 相 違 点 がどのような 意 義 を 持 ったのか 00_20 本 文.indd 127 13.3.22 3:23:53 PM

128 第 二 部 韓 国 と 日 本 の 若 手 研 究 者 による 報 告 それに 関 しては 障 害 者 差 別 禁 止 法 制 定 以 降 の 法 の 実 効 性 とあわせて 議 論 される 課 題 であるだろう 第 2 に 当 時 の 政 治 的 環 境 についてである 障 害 者 差 別 禁 止 法 制 定 時 に 香 港 は 中 国 返 還 (1997 年 ) 韓 国 は 大 統 領 選 (2007 年 )を 控 えて おり 人 権 施 策 の 後 退 が 予 測 される 時 期 であった これらの 点 は 障 害 者 差 別 禁 止 法 が 制 定 されていない 日 本 へのなんらかの 示 唆 を 与 えるものであろう 障 害 者 差 別 禁 止 法 は 条 文 のみならずその 制 定 過 程 に 差 異 がある その 差 異 は 政 治 的 経 済 的 文 化 的 な 影 響 を 受 けている 障 害 者 とほかのマイノリティや 専 門 家 との 連 帯 後 発 性 をもつ 東 アジア これらはあまり 着 目 されてこ なかった 広 がりを 持 ったテーマであり 今 後 さらなる 研 究 が 積 み 重 ねられてい くことだろう [ 注 ] 1) 中 国 語 大 辞 典 ( 大 東 文 化 大 学 中 国 語 大 辞 典 編 纂 室 編 1994)によれば 残 疾 は 身 体 障 害 者 という 意 味 がある 一 方 弱 能 については 項 目 がない 2)その 理 由 を 胡 紅 玉 は3つ 挙 げている 第 1にはオーストラリアの 法 律 が いい 法 律 であった ことがある それに 付 け 加 えて 第 2にコモンローの 体 系 を 両 者 とも 用 いていること 第 3に 彼 女 のコンサルタントの 一 人 がオーストラリア 人 だったことがある( 胡 紅 玉 氏 へのインタビュー 2012.10.24) 3) 香 港 は 1991 年 に 人 権 法 を 成 立 させた これは 国 連 の 条 約 を 批 准 するため に 作 られた 法 律 であり 政 府 の 活 動 を 制 限 しているに 過 ぎない 民 間 企 業 などへ の 差 別 を 禁 止 する 法 律 として 初 めてできたのが 性 差 別 禁 止 条 例 及 び 障 害 者 差 別 禁 止 条 例 である [ 文 献 ] Degener, Theresia, 2005, Disability Discrimination Law: A Global Comparative Approach, Lawson, A. & Gooding, C. eds., Disability Rights in Europe: From Theory To Practice, Oxford: Hart Publishing, 87-106. HKCSS, 1991, Council News, Welfare Digest 202: 2 Legislative Council, Proceedings (Retrieved July.13, 2009, http://www.legco.gov. hk/yr94-95/english/lc_sitg/hansard/h950728.pdf,). Peterson, Carole, 2005, A Progressive Law with Weak Enforcement? An Empirical Study of Hong Kong s Disability Law, Disability Studies Quarterly, 25: 4 00_20 本 文.indd 128 13.3.22 3:23:53 PM

東 アジアにおける 障 害 者 差 別 禁 止 法 の 制 定 過 程 129 (Retrieved July.28, 2012,http://dsq-sds.org/article/view/625/802). 崔 栄 繁,2010, 韓 国 の 障 害 者 法 制 障 害 者 差 別 禁 止 法 を 中 心 に 小 林 昌 之 編 ア ジア 諸 国 の 障 害 者 法 法 的 権 利 の 確 立 と 問 題 アジア 経 済 研 究 所,29-63. Yeung, Caroline, 1990, Developments of Social Welfare Services Into And Beyond 1990 s, Welfare Digest 192: 2-3. 江 紹 康, 1992, 美 国 傷 残 人 士 法 浅 説 社 連 季 刊 120: 2-3. 00_20 本 文.indd 129 13.3.22 3:23:53 PM

130 제 2 부 한국과 일본의 젊은 연구자에 의한 보고 동아시아의 장애인 차별금지법의 제정과정 홍콩과 한국의 질적 조사 고토 유리 後藤悠里 일본학술진흥회 와타나베 카츠노리 渡辺克典 리츠메이칸 대학 생존학 연구센터 PD 들어가기에 앞서 1990 년의 1990 년 장애를 가진 미국인 법 Americans with Disabilities Act of 1990 을 효시로 이 이후부터 호주와 영국 등의 많은 국가들에서 포괄적 인 장애인 차별금지법 Degener 2005 이 제정되고 있다. 일본도 치바현 2006 년, 홋카이도 2009 년 등에서 조례가 제정되어, 국 내법 제정을 목적으로 장애인 제도개혁추진회의, 차별금지부회에서 논의가 진 행되고 있다. 동아시아에서는 홍콩 및 한국이 장애인 차별금지법을 제정하고 있는데, 이 두 국가는 공통된 특징을 갖고 있다. 첫 번째로 후발성 을 들 수 있다. 홍콩의 장애인차별금지조례 Disability Discrimination Ordinance 는 1995 년에 제정되었고, 한국의 장애인 차별 및 권리구제 등에 관한 법률 은 2007 년에 제정되어 그 이전에 성립되었던 법률을 참조할 수 있었다. 두 번째로 홍콩과 한국에서는 다른 특성을 대상에 포함시키는 차별금지법 홍콩 : 평등기회법안, 한국 : 사회적 차별금지법 을 제정하려는 움직임 속에서 장애인 차별금지법이 제정된 경위를 갖고 있다. 장애인차별금지법 제정과정을 이러한 두 개의 관점에서 정리해 보면 어떤 차 이를 발견할 수 있을까. 00_20本文.indd 130 13.3.22 3:23:54 PM

동아시아의 장애인 차별금지법의 제정과정 131 본 연구에서는 이 질문에 답하기 위해 질적 조사법 다큐멘트 분석 및 인터 뷰 조사 을 사용하고 있다. 다큐멘트 분석의 대상이 된 것은 법률의 조문, 의회의 의사록, 장애인단체 가 발행한 뉴스레터, 신문기사이다. 인터뷰 조사는 당시의 의원, 관료, 장애 인 단체의 구성원 등에서 홍콩 : 2009 년 6 월, 2010 년 7 월 ~8 월, 2012 년 2 월 15 명 2010 년 5 월, 2010 년 8 월, 2012 년 3 월, 2012 년 6 월, 2012 년 8 월 16 명 반구 조화 면접에 의해 진행되었다. 이하, 법 제정경위에 대하여 언급한 후에 그 상이점에 대하여 설명하고자 한 다. 1 홍콩의 장애인차별금지법 제정 경위 홍콩에서는 전쟁 직후 얼마 되지 않아 사회복지사업을 담당하는 단체가 생긴 다. 이들 단체는 직업훈련, 물리치료, 정보제공, 거주시설에 있어서의 케어 데이서비스등의 서비스를 제공하는 역할을 담당하였다. 한편, 1960 년대에 들어서는 셀프 헬프 그룹 라는 평범하지 않은 단체가 출현하고, 이러한 조 직을 총괄하는 단체로서 1947 년에 홍콩사회복무연회가 성립된다. 홍콩사회복무연회는 1973 년부터 정부의 파트너 로서 각 단체와 정부의 매개체로서의 역할을 담당하고 있는데, Yeung 1990.05:3 장애인 차별금지법 에 관한 움직임은 이 단계 때부터 수면 밑에서 존재하게 된다. 홍콩 실명인 시각장애인 협회 회장을 역임한 Chong Chan Yau 씨에 의하 면 그들은 1970 년대부터 장애인 차별금지법제정을 목표로 활동을 펼쳤다고 한다 Chong Chan Yau 씨의 인터뷰, 2012,09, 18 또 홍콩사회복무연회가 발행하고 있는 잡지 사회계간, 뉴스레터 Welfare Digest 에는 장애를 가진 미국인 법에 관한 소개가 실려 있다. HKCSS 1991.03:2, 江紹康 1992: 28-29 차별금지법제정이 실현성을 띠게 되는 1993 년 이전의 각 단체들은 장애인 차별금지법의 필요성을 깨닫고, 정보입수에 힘을 쏟고 있었는데 비해 정부는 장애인 차별금지법제정을 거부하고 있었다. 당시의 홍콩에서는 입법평의회의 00_20本文.indd 131 13.3.22 3:23:54 PM

132 제 2 부 한국과 일본의 젊은 연구자에 의한 보고 힘이 약해 예산을 필요로 하는 법안을 제출하기가 어려웠고 따라서 그러한 시 점에서는 장애인 차별금지법제정은 거의 불가능한 일이었다. 1990 년대 초, 홍콩에서는 차별사건이 잇달아 일어났다. 1992 년부터 구 룡 여항성에서 정신병원을 세우려는 움직임에 대항하여 2 년간 주민반대운동 이 계속되었다. 1993 년 8 월 14 일에는 구룡 동부촌에서 공공 주택 안에 중증의 지적장애 인을 위한 숙박시설(Hostel)을 개설하려는 것에 대한 주민들의 반대가 일어 났고, 이러한 사건들에 대하여 홍콩 사회복무연회와 반 차별대연맹 같은 단체 는 데모와 경찰부장에의 탄원 등 하며 재빠른 대응모습을 보여주었다. 차별사건이 있은 며칠 후, 위생 복리국의 黄 銭 其 濂 (Wong Chien Chilien)씨 가 차별금지법을 만들 것을 선언하고 (명보 1993. 08.16 A2), 법안검토에 들어 갔다. 이 시기에 장애인 차별금지법의 실현은 단숨에 이뤄진다. 법제정의 구체적인 흐름을 만든 것은 당시 입법평의회의원이었던 胡 紅 玉 이 며, 그녀가 평등기회법안 Equal Opportunity Bill 을 1994 년에 입법평의회에 제출하였다. 평등기회법안은 공적영역 뿐 만 아니라 사적영역에 있어서도 장 애, 성별, 인종, 성적 지향, 종교, 가족의 지위, 일정기간의 전과를 가진 자의 차별을 금지하는 것이었으나(Petersen 2005)평등기회법안은 결국 폐지 법안 이 되고 만다. 그러나 정부는 이 법안의 성별과 장애에 의거한 차별을 금지하는 조문을 이 용하기로 하고 胡 紅 玉 도 이것에 승낙한다. 홍콩의 입법평의회에서는 보건 복지국 장관과 의원들에 의해 대변되는 형태 로 장애인단체의 바램을 보여주고 있다. 첫 번째로 disability 의 중국어 번역을 약능(약한 능력) 이 아니라 잔질 (질환의 흔적) 로 바꿔주길 요구한 장애인 단체의 의견을 수용하였다. 두 번째로 고용의 기회가 적은 장애인을 위하여 1 중소기업에서 인정하고 있는 장애인 차별금지법의 적용제외의 유예기간 을 없앨 것 2 재판소가 직장복귀를 포함한 구제조치를 실시할 수 있게 할 것 이 두 개의 조항이 00_20 本 文.indd 132 13.3.22 3:23:54 PM

동아시아의 장애인 차별금지법의 제정과정 133 1 5 년에서 3 년에의 단축 2 지방재판소가 복귀를 명할 수 있을 것 이라는 형태로 받아들여졌다. 홍콩의 장애인 차별금지법은 호주의 장애인 차별금지법(1992)을 참조하고 있는데, 조문의 내용은 홍콩상황에 맞춰서 변경된 부분이 있으나, 장애의 정 의는 거의 같다. 장애의 정의에 있어서도 장애에 대한 홍콩 사람들의 이념을 들여다 볼 수 있는 것이 disability 를 번역한 중국어 단어이다. 이 말을 선택한 홍콩사회복무연회 스텝은 다음과 같이 말하고 있다. 우리들은 disability 의 번역된 단어로서 잔질(질환의 흔적) 이라는 말을 선 택하기로 했습니다. 그 이유의 첫 번째는 만성질환을 포함시키고 싶었기 때문입 니다. 그리고 또 한 가지, 상잔(남은 상처) 에는 신체장애의 이미지가 강했 기 때문에 다른 말로 바꿀 필요성을 느꼈습니다.(필자 주 : 홍콩에서는 그다지 사용되지 않았다) 잔질(질환의 흔적) 이라는 단어를 새롭게 사용하는 것으 로,그 단어 안에 신체장애인, 지적장애인, 만성질환자를 전부 포함한 새로운 정 의가 될 수 있지 않을까라고 생각했습니다. 그래서 저희들은 상사에게 잔질(질 환의 흔적) 이라는 단어를 제안 했습니다.( 蔡 海 偉 CHUA Hoi Wai 씨의 인터 뷰 2012.02.14) 이 운동의 책임자들은 잔질(질환의 흔적) 이라는 단어를 사용하는 것으로 부정적인 인식을 없애는 것과 함께 그 안에 질병을 포함시킴으로서 의미를 분 명히 하였다. 홍콩은 총독에게 권한이 집중되어 있고 입법평의회는 자문기관으로서의 위 치로만 존재하기 때문에 의원이 예산을 필요로 하는 법안을 제출할 수 없었다. 처음으로 직접선거가 실시된 것은 1991 년부터인데,(의석은 60 의석 중 18 석. 그 때까지 의회 내에 세력을 지닐 수 없었던 민주파가 선거를 석권했다)다른 특 성에 의거한 차별을 금지하는 법률이 만들어지지 않았고, 1995 년이 되어서 성차별금지조례와 장애인 차별금지조례가 동시에 제정되었다. 00_20 本 文.indd 133 13.3.22 3:23:55 PM

134 제 2 부 한국과 일본의 젊은 연구자에 의한 보고 2 한국의 장애인차별금지법 제정 경위 한국의 장애인차별금지법의 제정 운동은 2000 년 열린네트워크 가 시초 였다고 할 수 있다. 2003 년에 58 개 단체가 모여 장애인 차별금지법을 제정 하였고, 장애인 차별금지법의 발의를 한 국회의원 역시 장애인 차별금지법에 관한 장애인차별금지법 추진운동의 존재를 높게 평가하고 있다 존 파온 씨의 인터뷰 2012. 03.11. 하지만, 제정되기까지의 과정은 순탄하지만은 않았다. 첫 번째 이유로 사 회적 차별금지법 에의 대항이다. 노무현대통령 당시 은 차별금지법을 만 들려는 의향을 갖고 있었으나, 장애인 차별금지법 추진운동은 이 방침에 격하 게 저항하면서 장애인 차별금지법의 제정을 요구하였다. 60 일간 국가인권 위원회의 회의실을 점거하고 농성한 결과, 대통령은 장애인 차별금지법의 제 정결정을 내렸다. 그 후로도 경제계로부터의 반대와 국회내부 문제도 있었으나 2007 년에 무 사히 법률이 국회를 통과하게 된다. 마지막까지 쟁점이 있었던 부분은 ① 차별시정기관을 국가인권위원회와 독립적으로 둘 것인가의 여부 ② 시정명령에 동반되는 벌금제도를 설치할 것인가의 여부 ③ 차별이 있었다는 것을 증명하는 책임부분을 차별한 사람과 차별받은 사람 사이에서 어떤 방법으로 구분 할 것인가이다. 제정된 법률에 있어서는 ① 장애인차별 시정 소위원회를 국가인권위원회의 아래에 설치할 것 제 40 조 ② 입증책임에 대하여는 차별행위를 받았다고 주장하는 쪽이 차별행위가 발 생했다는 점을 증명할 것과 상대편 쪽은 장애에 의거한 차별이 아닌 점 또 는 정당한 근거가 있다는 점을 증명할 것 제 47 조 ③ 징벌 및 배상제도에 대하여는 악질적인 자의 경우에는 3 년 이하의 징역 또는 3 천만원을 넘지 않는 한에서 벌금형을 선고할 수 있다 제 49 조 라 정해졌다. 최영번은 이 결과를 통해 장애인 차별금지위원회의 설치를 제 00_20本文.indd 134 13.3.22 3:23:55 PM

동아시아의 장애인 차별금지법의 제정과정 135 외하고, 장애인 차별금지법 추진운동이 주장했던 시정명령과 입증책임의 전 환,징벌 및 배상제도도입이 각각 의 취지에 따라 어느 정도 도입에 성공한 상태이다 라 평가하고 있다.(최영번 2010: 54) 한국의 후발성 은 홍콩의 경우와 다르게 새로운 형태를 만들어냈다고 볼 수 있다. 장애인차별금지법 추진운동을 하는 사람들은 미국, 영국, 홍콩 같은 다른 국가의 법률검토를 통해 추진하고 있으며 그와 동시에, 장애인 추진운동법제 위원회는 집회나 위원회내의 의논을 통해서 장애인 차별에 대하여 의견을 수집 하고 법안을 작성하였다. 장애의 정의는 법제위원회의 사람들이 주목하는 테마 중의 하나였다. 사회 적장벽이 장애를 만들고 있음을 명기하고 장애의 범위도 장기적 단기적 일시적 인 장애를 포함하려 하였다. 게다가 열린 네트워크의 운영위원이면서 장애인 차별금지법 제정 초반부터 관련되어 있었던 유동철 씨는 정의에 대하여 다음과 같이 말하고 있다. (한국어)영미법이나 호주 법을 다 봐도, 장애의 개념 안에 우리가 아까 이야기 했던 차별의 개념을 넣어서 정의하는 예는 없어요. 우리가 이제 사 회적 모델에 입각해서 장애의 정의를 새롭게 해보려고 새롭게 시도를 했던 거죠(유동철 씨의 인터뷰 2012.08.30) 다른 국가의 법률을 참조하면서 새로운 것을 만들어 나간다는 형태에서 한국 의 후발성 을 볼 수 있다. 한국에서는 대통령에 의한 사회적 차별금지법 의 제정을 목표로 했었지만, 장애인차별금지법 추진 운동의 반대로 인해 독립 된 장애인차별금지법이 제정 되었다. 이 점에 대하여 대통령 자문기관인 빈부격차시정원회의 남찬섭 씨는 노무현 대통령이 국가인권위원회를 육성시키고자 하였고, 장애인 차별금지법 추진운 동과의 대립을 원하지 않았다고 보고 있다.(남찬섭씨의 인터뷰 2012.06.13) 00_20 本 文.indd 135 13.3.22 3:23:55 PM

136 제 2 부 한국과 일본의 젊은 연구자에 의한 보고 3 제정과정의 비교 본 보고서에서는 장애인차별금지법의 제정과정에 있어서 전제 되었어도 그 다지 주목받지 못했던 두 가지 점 후발성 과 다른 특성을 대상으로 하는 법률 의 제정 에 초점을 두고 의논을 진행해왔다. 홍콩에서는 장애정의의 범위를 넓게 보는 호주 식을 도입하여, disability 의 중국어 번역으로, 질병을 갖고 있는 사람까지 포함되었음을 강조한 단어로 결 정하였고 한국의 경우, 장애인차별금지법 추진운동은 장애의 정의에 대하여 새로운 시도 를 하려했던 것이다. 홍콩 및 한국에서의 인터뷰에서 관심을 끌었던 점은 운동을 추진하는 사람들 로부터 다른 특성을 지닌 마이너리티에 관한 발언을 들을 수 있었던 점이다. 홍콩의 반 차별대연맹은 차별이라는 이슈를 특화시킨 네트워크이며, 장애인 뿐 만아니라 외국인 노동자, 성적 소수자, 미혼모 등을 멤버로 포함한 단체이 다. 핵심멤버중의 한 사람인 麥海華 씨는 다음과 같이 말하고 있다. 우리들은 특히 장애인을 대하는 차별에 관심을 두고 있었습니다만, 그와 동시에 젠더, 노동자, 이주민, 성적 소수자, 종교문제에도 관심을 갖고 있 었습니다. 麥海華씨의 인터뷰 2012. 02.17 장애인차별금지법에 대한 운동에서 이러한 사람들의 참가여부는 확인할 수 없었지만, 장애인차별금지법 제정 1 주일 전 입법평의회에서 이루어진 평등 기회 를 요구하는 데모 참가를 호소하는 광고에 Horizon 성적소수자 단체 와 관주 단친인사회 미혼모 단체, 홍콩 직공회연맹 외국인 노동자가 가맹한 노동조합 등도 이름을 같이 하고 있다. 한국에서도 마찬가지로, 다른 마이너리티 속에 장애인을 포함시키는 움직임 을 보였다. 열린 네트워크의 변경택 씨는 이 단체를 사회적 약자를 위한 인권 단체 로서 자리매김하고 있다. 게다가 그는 사회적 약자에 대하여 다음과 같 은 설명을 덧붙였다. 00_20本文.indd 136 13.3.22 3:23:55 PM

동아시아의 장애인 차별금지법의 제정과정 137 (한국어)이주노동자, 성적소수자, 다문화 가정, 그리고 또 새터민. 다양한 계층이 많죠. (열린 네트워크 변경택 씨의 인터뷰 2012.08.30) 그리고 이러한 사회적 약자 중에서도 가장 심한 차별이 받는 사람들이 중증장 애인임을 밝히고 있다. 이 발언은 한국 DPI 의 김대성 씨의 이야기에서도 들을 수 있다. (한국어)그래서 이 인권운동은 여러 가지로 생각해볼 수 있는데. 어쨌든, 사회적 약자가 하는 운동이고, 사회적 연대를 해야지만 가능한 운동이고. 인권 운동이 하는 것은 결국 우리가 이야기하는 사회 이데올로기를 바꾸게 한 운동이 다. 이렇게 보셔야 한다는 거죠. 그 중에서도 가장 약자로 꼽을 수 있는 것이 장애 인 쪽이에요. 자, 장애인의 특성을 보면, 장애인은 굉장히 영구적이라는 게 특성 이 하나 있어요. 즉, 전( 全 )생애 영역을 거쳐 가고 있다. 한 살부터 노인까지. 어린이부터 노인까지 문제를 다 갖고 있다. 두 번째, 장애인은 성별도 다 갖고 있 다. 여성도 있고, 남성도 있고, 나이도. 세 번째, 장애 쪽은 모든 분야를, 또 영역 을 다 갖고 있다는 것이에요. 즉, 노동문제도 장애인이 발생을 하고요. 그 다음에, 교육에서 장애인이 통합교육, 특수교육 이야기 다 되고요. 그렇죠? 노동, 교육, 사회적인 국방의 의무, 환경, 교통, 장애인이 어디 하나 안 끼는 영역이 없어요. 다 장애인 문제가 발생해요. 그래서 보시면 여러 사회적 약자 중에 장애인이 가장 정점에 있다는 것을 알 수가 있어요. 결국 장애인 문제가 다 해결되면, 나머지 문 제가 다 해결돼요. 그렇기 때문에 장애인 운동은 가치 있는 운동이에요.(DPI 한 국 김대성 씨의 인터뷰) 장애인의 운동을 통해서 다른 마이너리티의 인권보호를 목표로 하는것, 장 애인의 다른 점을 강조하는 것이 아니라, 다른 속성들과의 공통점을 찾아가는 것, 홍콩이나 한국의 장애인차별금지법 제정경위에서 우리는 이러한 움직임을 배울 수 있다. 대신, 질적 조사를 중심으로 한 본 보고서에는 다룰 수 없었지만, 홍콩, 한 국과의 비교에는 다음과 같은 두 가지 중요 포인트가 있다. 00_20 本 文.indd 137 13.3.22 3:23:56 PM

138 제 2 부 한국과 일본의 젊은 연구자에 의한 보고 첫 번째로, 당사자적 성격에 관한 것이다. 홍콩은 비정부조직의 의사결정기 관에 장애인당사자가 의장으로서 참가하고 있지만, 당사자운동이라기보다 사 회운동가, 변호사, 대학교 교원들이라는 엘리트에 의한 장애인을 위한 활동인 것에 비해, 한국에서는 장애인 당사자가 의견을 내고, 비당사자가 그 실현을 돕는 형태로 역할 분담이 이루어지고 있었다. 이러한 홍콩과 한국의 상이점이 어떠한 의의를 지니고 있는지 여기에 관해서는 장애인차별금지법 제정이후의 법의 실현성과 함께 논의되어야할 과제 일 것이다. 두 번째로 당시의 정치적인 환경에 대한 점이다. 장애인차별금지법 제정시 에 홍콩은 중국반환(1997 년)을, 한국은 대통령선거(2007 년)를 앞두고 있 었고, 인권시책의 후퇴가 예측되는 시기였다. 그러나 장애인 차별금지법 추진 운동 관계자는 지금밖에 없다고 생각해서 싸웠다 라고 말하고 있다(배윤호 씨의 인터뷰 2010. 04.10) 위의 두 부분은 장애인차별금지법이 제정되어 있지 않은 일본에게 있어 시사 되는 점이 있을 것이다. 장애인차별금지법은 조문 뿐 만 아니라 그 제정과정에도 차이가 있다. 그 차 이는 정치적, 경제적, 문화적인 영향을 받고 있다. 장애인과 그 외의 마이너리 티와 전문가들과의 연대, 그리고 후발성 을 지닌 동아시아. 이 문제들은 아직까지 주목을 받지 못했으나 넓은 범위를 가진 테마이므로 앞으로도 많은 연구가 계속되어야 할 부분이다. [주] 1) 중국어대사전 (대동문화대학 중국어 대사전편찬실편 1994)에 의하면, 잔 질(질환의 흔적) 은 신체장애인 이라는 의미가 있다. 한편 약능(약한, 능력) 에 대한 항목은 없다. 2)그 이유로 胡 紅 玉 은 세 가지를 들고 있다. 첫 번째는 호주의 법률이 좋은 내용 의 법률이었다 는 점이다. 거기에 덧붙여, 두 번째로 코몬로의 체계를 양쪽 다 사용하고 있는 점, 세 번째로 그녀의 컨설턴트가 호주인 이었다는 점이다(후홍 옥씨의 인터뷰 2012.10.24) 3)홍콩은 1991 년에 입법권 을 성립시켰다. 이것은 UN 조약을 비준하기 위해 00_20 本 文.indd 138 13.3.22 3:23:56 PM

동아시아의 장애인 차별금지법의 제정과정 139 만들어진 법률로 정부의 활동을 제한하고 있는 것에 지나지 않는다. 민간기업 등 에의 차별을 금지하는 법률로서 처음 만들어진 것이 성차별금지조례 및 장애인 차별금지조례이다. [참고문헌] Degener, T., 2005, Disability Discrimination Law: A Global Comparative Approach, Lawson, A. & Gooding, C. eds., Disability Rights in Europe: From Theory To Practice, Oxford: Hart Publishing, 87-106. HKCSS, 1991, Council News, Welfare Digest (202): 2 Peterson,C.,2005, A Progressive Law with Weak Enforcement An Empirical Study of HongKong s Disability Law, Disability Studies Quarterly(25)4 (http://dsqsds.org/article/view/625/802, 2012.06.28 열람). 최영번, 2010, 한국의 장애인법제 - 장애인차별금지법을 중심으로 고바야시 마사유 키편 아시아 여러나라의 장애인법 법적권리의 확립과 문제 아시아경제연구 소 :29-63. Yeung,C.,1990, Developments of Social Welfare Services Into And Beyond 1990 s, Welfare Digest (192): 2-3. 강소강, 1992, 미국상잔인사법 천설 사련계간 (120): 2-3. 00_20 本 文.indd 139 13.3.22 3:23:57 PM